LOCUS 2008

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UK-Japan 2008 accredited event


”LOCUS(居留地)“展は東京の阿佐ヶ谷美術専門学校とノーウィッチ美術デザイン大学との交流プログラムです。
日本とイギリスの二つの美術デザイン学校は、2004年から”LOCUS“を共通テーマにして交流をしています。
場所と文化や生活は深く結びついています。グローバル化がいくら進んでも、場所と結びついた文化や生活の特殊性がなくなることはないでしょう。
”LOCUS“展の目的は、東京とノーウィッチとの特別な場所と結びついている文化と生活をその場所で体験して、それをアートやデザインの作品に結晶させることです。

第5回目の”LOCUS“展は、グラフィックデザイン部門の作品の交流です。
グラフィックデザインの第一は文字や図像を用いていることです。次に、印刷によって複製されることが重要です。
人間は文明の誕生の最初から、文字や図像をコミュニケーションの手段として用いています。メソポタミアの楔形文字やエジプトの象形文字、中国の漢字などはよく知られています。
もっとも素朴な印刷は、現在のゴム印か木版画のような形式の「浮き彫り印刷」でした。中国では紀元後の2世紀ごろには使われていました。
わたしはグラフィックデザインの歴史をたどろうとしているのではありません。人間がいかに古くから文字と図像を使ってより多くの人々に情報を伝えようとしてきたかを強調したいだけです。

文字や図像がわたしたちを魅了するのはどうしてなのでしょうか。
文字や図像は、今、ここには存在していないなにごとかを眼前に立ち現れさせることができます。「神」という文字は、この文字を読んで理解できた人々に、今、ここには存在していない「神」を経験することを可能にするのです。
紀元後8世紀にアイルランドでつくられた聖書の手写本では、無限の模様のなかに織り込まれたイエスを意味する文字「XPI」は、人々の眼前にイエス・キリストを現れださせたはずです
日本の「源氏物語絵巻」を紐解くと、イラストレーションと文字とが共鳴して、男女の恋と愛の空間が現れてくるのです。
文字や図像の本質的な力は、ここには存在していないものを現れださせることです。こうした「非在の生成」とでもいえる力によって人と人とのコミュニケーションが可能になっているのです。
グラフィックデザインはコミュニケーションのために、文字や図像のこの力を使っています。

グラフィックデザインでもう一つ忘れてはならないことがあります。
グラフィックデザインは印刷技術の高度化によって大量生産が可能になったことやマスメディアの発達と深い関係があります。近代グラフィックデザインは大量生産とマスメディアが発達した都市で誕生しました。
そして、現在では、このWebカタログのように印刷物を使わないでグラフィックデザインの力を使うコミュニケーションも現れて、グラフィックデザインの可能性が拡大されています。

今回、東京で制作するのはロバート・シャドボルトです。ノーウィッチで制作するのはベップヒロミです。
ロバート・シャドボルトはイラストレーションを中心にしてグラフィックデザインのいろいろな分野で活躍しています。ベップヒロミはイラストレーションを中心にして絵本や アートブックを制作しています。
物質的な材料を使わないウェッブデザインが拡大している現在の状況のなかで、二人が異質な文化と生活を体験して、グラフィックデザインのどのような新しい力を発見するのでしょうか。

 

早見堯(阿佐ヶ谷美術専門学校 研究科科長 国際交流センタースタッフ)

 

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