廣澤章光「実験室―Ⅱ(今は昔)」

廣澤章光「実験室Ⅱ(今は昔)」
展示会期2013年12月10日[火]〜12月21日[土]
開廊時間12:00―19:00(最終日のみ17:00まで、日曜祝日休廊)
展示作家 廣澤章光

「今は昔」は今昔物語の枕詞として有名ですが、それは写真の一面を指す最適な言葉でもあります。
撮りたい場面にカメラを向けシャッターを押す、その瞬間に時間と空間が凍結され過去の記録として定着します、時間と空間は連続して切れ目無く進み続け決して戻ることはありませんからカメラは「昔」を製造する便利な装置なのです。

実験室−Ⅱでも「アナログ対デジタル」がテーマです、実験室−Ⅰではデジタル画像作品を展示しましたが、写真集を始め写真展の作品もいまやデジタル作品が殆どなので、比較して展示することは控えました。
デジタル処理をしている画像かどうかにかかわらず、カラー作品とモノクロ作品のコンセプトには違いがあります。この違い云々ではなく、印画紙に焼き付けられた画像表現のニュアンスを感じ取り、既に崩壊しつつあるアナログシステムの存続意義を感じていただくことを目的にいたしました。

ここに展開されている風景は東京から横浜にかけての湾岸地区と茨城県の北に位置する海岸です、
オリンピックの東京開催が決まったことで開発が一気に進み風景が一変するであろうこと、
つい二年前に起きた三陸一帯の災害、原発汚染によって静かでも漁が出来なくなった海、全ての存在の脆さ危うさを誰もが実感していること、
想定を遙かに超える気象現象が世界で頻発していること、
などが選択の理由です。

眼の前の光景に危うさを投影するような撮影は避け、普段の光景を展示してありますが、この風景は7年もすれば変容して昔話の枕詞なるでしょう、再開発で風景が一変するのは確かなことですから、無事にオリンピックが開催されまた別の平穏な風景が拡がっていれば結構なことです。

2013年12月10日 廣澤章光