FACE THE FAR EAST

FACE THE FAR EAST
展示会期2011年10月04日[火]〜10月22日[土]
開廊時間12:00-19:00(日曜・10日体育の日休廊)
展示作家 小川佳夫沓澤貴子平井正義吉川民仁 +小林ひとし
備考 オープニング:4日(火)18:00-19:00
アーティストトーク:21日(金)18:00-19:00

2000年代最初の10年をへた日本において、絵画は依然、自明かつ不明である。
大衆的な美術享受や制作の場においては、絵画は疑いえない表象ジャンルとしてあり、他方、20世紀欧米コンセプチュアリズム以来の影響下にあり、今世紀的なメディア革新の視点に立つ美術家たちにとっては、絵画は旧き、唾棄すべき対象としてある。
FACE THE FAR EAST 。「極東の垂直面(face)」なる名の下に集まり、「極東に/で対面(face)せよ」との呼びかけを行う4人および1人は、絵画の自明さ、不明さのどちらへも与しない。彼らは繊細かつ不敵に、欧米ポストモダニズムの美術が、およびその思想に倣う同時代日本美術が限界を認めた絵画へ、極東、すなわちこの東京から、いささかのジャポニズムもエグゾティシズムも欠いた関与をなす。
小川佳夫は、単一かつ精妙に塗られた画面へペインティングナイフの一閃により傷=線を施す。描く、のではなく掻く身振りによって作られた物体的な平面は、真に今日的な絵画の自明性と不明性の閾に立っている。
沓澤貴子の画面の生命的、あるいは何かの道具めいた形態はいかなる象徴性を有しているのか、いないのか。しかし、あれらの形態群がシンボリズムを超えて矩形の画面を動かし、絵画の空間を生み出すシフターとして機能していることは疑いえない。
本展における唯一の映像作家である平井正義は、都市を遊歩しつつ手製のピンホールカメラを据えて廻る。カメラ印画紙に定着された建築物、それらの内景は奇妙に湾曲し、原初的な映像性をもって反=風景画を顕現させる。
吉川民仁は従来の描き、塗ることに留まらず、絵具を延ばし、盛り、投げるなど頓着の無い画面へのアプローチをしつつ、空間を探る。それらの営みは遊戯的な葛藤、とでも呼ぶべき絵画的モダニズム作成の一局面を示している。

本プロジェクト名に含まれる極東(The Far East)という方位は、言うまでもなく西欧の近代以降の”地政学”に由来する。それは、人形町ヴィジョンズにおいて、見る、画面に向き合う(face)単独性の経験が組織されることで、自ら騙った指し示しとして無化されるだろう。

H.K.

小林ひとし Hitoshi KOBAYASHI
1962年生. 1987年、多摩美術大学 芸術学科卒業.
美術館学芸員、編集者を経て1998年より美術専門学校、大学における近現代美術史、他の講師.