よろこび Bliss

よろこび Bliss
展示会期2010年01月18日[月]〜01月30日[土]
開廊時間12:00-19:00(日曜休廊)
展示作家 古川流雄

絵画の受肉としての物体化、立体化という直観の具現化において私が為そうとした、つくろうとしたのは、形でも量でもない部分部分のうねり、木々の葉の茂りのような、波のような表現であった。全体的な形でも、形と形の関係でもないあらわれ。それをつくりだすために最終的に選択されたのは布と樹脂であった。

布とその襞は、視覚芸術においてギリシャ時代から続く重要な表現手段、モチーフであり続け、日本の仏教美術にさえも行き着くものである。ロマネスク、ゴシック、ルネッサンス、バロックと連綿と続くその伝統もセザンヌ、マティスで途切れるようだ。その豊かな古い伝統をあらたなかたちで復活させたい。

2007年の制作で、それまでのようにメタリックにはしない、透明なままの樹脂と布の持つ色彩による制作が始まった。布に樹脂が浸透することで、布の持つ色でも樹脂の色でもない、立体としての制作プロセスとも一体化した色彩があらわれることになった。

ヨーロッパ中世14世紀の音楽、アルスノヴァArs Nova(新芸術)におけるカウンターテナーの響き、その暗闇から続く陰りをたたえた透明さのような、静かなよろこび、恩寵としか言いようのないよろこびとしての色彩をこそ目指したいと思う。